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靴を愛する者全員で、より良い世界を築く。

履き手から始まり、業界全体へ

現代では全ての者にマイクが与えられていて、自ら発信したり、誰かの発信を拡散して、それを事業者に届けることができる。ウェブブック『新・ブランド論』で用いた言葉で言い換えるなら「票を投じる」ことができる。その投票が、事業者を変化させ、やがて市場を変化させる。

特に、高級靴市場においては、ブランドと消費者の共感度が高く、したがって一票の影響力が大きい。また、共感度の高さゆえ『新・ブランド論』で示したように、消費者がブランドの一部機能を果たすこともできるだろう。

すなわち、ブランド運営者と共に、履き手がブランドを作り、高級靴市場を作るのだ。

ウェブブック『新・ブランド論』

ブランド運営者は、現状においては、他ブランドの運営者や履き手によって拒絶されるリスクが高く、すぐには新しい企画生産・広告宣伝を実行できない。また、作り手(制作者)として自らアトリエを運営する人であれば、ほとんど全ての熱量を制作に注いでいるため、方向転換を検討する余裕が少ない。

履き手は、事業者ではないためリスクを負わない。それなら、まずは履き手が新しいことに挑戦するのはどうか。履き手の挑戦をトリガーとして、少しずつ業界全体のムードが変わり、ブランド運営者が方向転換しやすくなる。大きなブランドが方向転換すれば、小さなアトリエも自然に方向転換していく。変化しやすいところから変化しようということだ。

当スタジオの運営陣は、他に生業を持ちながら、この活動をしている。つまり、われわれは履き手の集団である。履き手の集団として、上記のムーブメントの一環を担いたい。

われわれは、世界初の試みとして、ギルド系アトリエの作品を一般公開し、アトリエに代わって訴求活動を行う。その活動の一つ一つにおいても、積極的に挑戦を図る。

高級靴市場では、人々の考え方や感性の共有度が高い。この市場には、似通った者が集まっている。

それは一方の面では、ペルソナの明瞭性を維持する。明瞭なペルソナを一因にして、高級靴人口の増加を妨げる業界構造が存続する。だが、他方の面では、人々の間に強い結束を生み、それが推進力になるはずだ。

ブランド運営者も履き手も、靴を愛する者全員で、高級靴市場を成長させる。将来に渡って、靴を愛する者全員が、宝物と出会える世界を築くのだ。

『革靴業界の新時代』文:Tohru Shiina 編訳:Kohki Kazami

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