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規模による可能性損失

規模について

〇〇は、××の紳士靴ブランド。19XX年、××において、▲▲氏は靴作りを始めた。〇〇の靴は、XXXの工程を経て、約X週間をかけ完成される。使われる素材は一流の厳選された素材だけであり、グッドイヤー製法と呼ばれる製法で作られる。その履き心地は××のようで、かの有名な××も愛用したことで有名。靴にこだわるなら一足は持っておきたいブランド。

各有名ブランドは、このような定型の紹介文を持っており、上記の例のように、いかに数多くの工程を必要とするか、いかに長い生産期間を必要とするかを語る。完成までに何百の工程を経て何週間もかかるのであれば、"厳選" された人材や設備を使っているとイメージするだろう。それなら、その後に続く素材の「厳選」という文言も納得して受け入れ、"厳選" された素材を使っているとイメージするはずだ。

こういった定型の紹介文を持っているような有名ブランドのメーカーが、毎月何足完成させるかご存知だろうか。フランスの某メーカーを例にすると10,000足だ。あるメーカーのリソースの厳選レベルを推しはかるには、その規模感を頭に入れておく必要がある。

最初に断っておくが、規模が小さい程、リソースの厳選レベルが高いということではない。

スライド12 Slide 12
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規模による可能性損失

問い

同じ制限下にあるメーカーA,B,Cの規模(生産数)は以下の通りである。

メーカーA:規模10,000 メーカーB:規模1,000 メーカーC:規模100

これらA,B,Cが、リソースの採り方において、実行可能最高レベルを実行した場合。 実行可能最高レベル

スライド13 Slide 13
スライド14 Slide 14

この場合の各メーカーのリソース厳選レベルを比較すると、どうなるか?

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規模の換算1

比較のためには、規模を揃える必要がある。すなわち、A,Bのリソースの採り方を、規模100に換算する。この換算は、以下のように行う。(なお、後に別の方法でも説明するので、仮に理解できなくても読み進めてほしい。)

まず、以下のようなメーカーP,Qを考える。

Pは、規模100で、採用したリソースの能力の平均値がメーカーAと等しい。つまり、Aが採用したリソースの能力の平均値(10,000単位のリソースの能力の合計値/10,000)と、Pが採用したリソースの能力の平均値(100単位のリソースの能力の合計値/100)が等しい。

Qは、規模100で、採用したリソースの能力の平均値がメーカーBと等しい。つまり、Bが採用したリソースの能力の平均値(1000単位のリソースの能力の合計値/1000)と、Qが採用したリソースの能力の平均値(100単位のリソースの能力の合計値/100)が等しい。

この時、P,Qのリソースの採り方は、例えば、以下のスライドのようになる。

スライド15 Slide 15
スライド16 Slide 16

Pが採用した100単位のリソースから1単位取り出した時の平均的な能力は、Aが採用してきた10,000のリソースから1単位取り出した時の平均的な能力に等しい。つまり、平均的に見れば、規模100のPと規模10,000のAのリソース厳選レベルは等しい。したがって、Aのリソースの採り方を、規模100に換算したリソースの採り方とは、Pのリソースの採り方である。

Qが採用した100単位のリソースから1単位取り出した時の平均的な能力は、Bが採用してきた10,000のリソースから1単位取り出した時の平均的な能力に等しい。つまり、平均的に見れば、規模100のQと規模10,000のBのリソース厳選レベルは等しい。したがって、Bのリソースの採り方を、規模100に換算したリソースの採り方とは、Qのリソースの採り方である。

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規模の換算2

規模の換算について、別の方法で説明しよう。

以下のスライドの左図は、Aが実行可能最高レベルを実行した場合に採用した10,000単位のリソースを表現したものだ。この10,000の中から、さらに100単位採ることを考える。

スライド17 Slide 17

100単位の採り方は色々あるが、どの採り方をした時に、リソースの能力の平均値がAと等しくなるだろうか?

スライド18 Slide 18
スライド19 Slide 19
スライド20 Slide 20

つまり、以下のように言える。

図1の採り方をした場合のリソースの能力の平均値 < Aが採用したリソースの能力の平均値 < 図3の採り方をした場合のリソースの能力の平均値

したがって、リソースの能力の平均値がAと等しくなる、100単位のリソースの採り方は下図のような範囲にある。

スライド21 Slide 21

この範囲の中で、"白い帯" がどの位置に来るかは、リソースの能力分布次第である。リソースの能力が低くくなるにつれて、存在量が多くなる度合いが強い程(すなわち、三角形がつぶれた形になる程)"白い帯" は下に位置する。そして、この "白い帯" の位置(すなわち 100単位の採り方)こそが、Aのリソースの採り方を、規模100に換算した場合のリソースの採り方である。

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問いの答え

スライド22 Slide 22
スライド23 Slide 23
スライド24 Slide 24
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規模による可能性損失

制限下で、ベストを実現した場合のリソースの厳選レベルが実行可能最高レベルである。すなわち、A,B,Cいずれも、以下の図の状態よりも、リソースの厳選レベルを上げることは不可能だ。

スライド25 Slide 25

実行可能最高レベルにある状態では、生産数(規模)を増やせば増やす程、より下位のリソースに手を出すことになる。AはCよりも追加的に、9,900単位の下位のリソースに手を出し、BはCよりも追加的に、900単位の下位のリソースに手を出している。

したがって、三者いずれもベストを実現した時に(実行可能最高レベルを実行した時に)A,Bのリソース厳選レベルは、必ずCのリソース厳選レベルを下回り、Aのリソース厳選レベルは必ずBのリソース厳選レベルを下回る。

規模が100を上回るなら(100から、追加的に1以上のリソースを採るなら)必然的に、どう頑張っても、実行可能最高レベルにある規模100のメーカーよりも、リソースの厳選レベルで勝ることは不可能となる。

すなわち、A,Bは、以下で表現される部分だけ、実行可能性を失っていると言える。

スライド26 Slide 26

規模の大きさのために、実行可能領域を失うことを「規模による可能性損失」と呼ぶことにする。

また、規模による可能性損失の結果、以下のようなことが起きる。

スライド27 Slide 27

すなわち「規模による可能性損失」のために、実行可能最高レベルまで頑張ってリソースを厳選しているAが、ほどほどにリソースを厳選しているCに劣ることもありうるのだ。

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理論最高レベルを実行した場合

スライド26では、A,B,Cが、実行可能最高レベルを実行した場合の「規模による可能性損失」部分を示している。では、理論最高レベルを実行した場合の「規模による可能性損失」はどうなるだろうか。この場合はすなわち、スライド26から、制限(青く塗られた部分)が無くなったと考えればいい。 理論最高レベルスライド26

スライド29 Slide 29

規模による可能性損失を改めて定義しておこう。

理論最高レベルもしくは実行可能最高レベルを実行した場合、規模が大きくなればなる程、より下位のリソースを採用することになる。 すると必然的に、採用したリソースの能力の平均値が下がっていく。すなわち、平均化した場合(規模を換算した場合)の、リソースの厳選レベルが下がっていく。

以上のことは、規模が大きいことによって、必然的に、リソースの厳選レベルを高められる余地を失っていると言い換えられる。(スライド25参照)これを「規模による可能性損失」と定義する。 スライド25

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