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第二の差と靴選び

革靴という製品は、動物の身体の一部を素材とし、製造過程に手作業を含むため、必然的に個体差を持つ。例えば天候や景気の変化によって、あるいは、作業者の技術や気分の変化によって、個体差ができる。これが、第二の差、同モデル個体間の差である。

第二の差

第二の差(同モデル個体間の差)は、誰もが新品時に明確に認識できるものではない。つまり、大きな傷や解れがあるといったことではない。

例えば、革の肌理や縫製等の部分毎の微妙な差である。この差によって、履きこんだ後、綺麗に減り張りがつくか否かが決まる。綺麗に減り張りがついた状態とは、柔らかくなるべき部分が柔らかくなり、硬く残るべき部分が硬く残っている状態のことだ。ジーンズでも、負荷がかかる部分だけが柔らかくなっているものが美しいとされる。それと同様である。

また、例えば、革の繊維内部の油分の入り方、染料の乗り方などの微妙な差である。この差によって、履きこんだ後、綺麗に色彩の濃淡が出るか否かが決まる。

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第二の差を考慮した靴選び

以上のような微妙な差は、物理的化学的な作用が加わるに伴い、どんどん大きくなっていく。物理的化学的な作用とは、例えば、体重による負荷、擦れや傷、紫外線、水分油分の出入り等だ。

革靴を選ぶ際には、新品の靴から微妙な差を感じ取って、それにいかなる作用が加わり、どう変化していくか推測しながら選ぶ。とにかく新品から履き込む経験を繰り返し、例えば「この革質ならば、こうなった」という実例を自分の中にストックする。それをリソースにして、目の前にある靴が持つ可能性(良い靴に育っていくか、悪い靴に育っていくか)を見極めるのだ。

一部のメーカーは、古くから取引のある業者や影響力の大きい市場から順に、出来の良い靴を納入する。その場合は、同じ店や同じ地域で売られる靴は、出来栄えによって既に仕分け済みであり、その靴同士には大きな個体差がない。

靴を選ぶ際には、これを念頭に入れる必要もある。したがって、同一チャネルの個体同士を比べて買うのではなく、異なるチャネルの個体同士を比べて買うのが良い。百貨店やセレクトショップだけでなく、現地ファクトリー等へも赴くのがベターである。

※ 「個体差の存在は知っているが、個体差を感じられない」と言う人もいる。個体差を感じられない要因の一つは、仕分け済みの個体同士を比べていることである。

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